TAKAOに着いたら、なにしよう。06course「ニホンザル、のち、お座敷でござる。」11:22 A.M. 高尾山さる園 →3:49 P.M. 割烹すゞ香

日本に暮らして2年。はじめてのTAKAOで新たなJAPANを発見。今回、TAKAOを行くのは、フランス人夫婦。日本が世界に誇る観光地TAKAOをめぐる日帰り旅へ。美しい自然の中で暮らすニホンザルと出会い、和の趣たっぷりの花街で芸者の美技に酔いしれ……。さあ、TAKAOで“なに”できた?

今回、TAKAOを行くのは仲良し女子大生2人組。気持ちのよい緑豊かな初夏の高尾山へGO! 渓谷を『飛び石』伝いに登って頂上を目指し、『願い石』があるお目当ての薬王院へ。ご利益があるという石に、それぞれの想いをしたためて……。さあ、TAKAOで“なに”できた?

10:38 A.M. 高尾山口駅〜高尾山さる園

真っ赤なお顔のニホンザル。
見事な芸に妻は大興奮!

妻と日本で暮らすようになってちょうど2年。2人ともだいぶ日本語がわかるようになった。文化の違いにもずいぶん慣れてきた。そして、もっと日本を知りたくなった! そこで、今回は外国人に人気のある“ゲイシャ(芸者)”に会えるというTAKAO行きを計画。日本人の友人と合流してゲイシャの待つ八王子の花街に向かう前に、夫婦でケーブルカーに乗って高尾山に登り、『高尾山薬王院』にも立ち寄る予定。今まで知らなかったどんな“日本”に出会えるのか、楽しみだ。

高尾山口駅は、リニューアルされたばかりらしく、実に美しい。木の使い方に“和”を感じる。そんな見事な駅舎を背中に、ケーブルカー乗り場へ。ここから、最初の目的地『高尾山薬王院』を目指す。

かなり急な傾斜を登っていくケーブルカーに驚いていること数分、高尾山中腹にある終点の『高尾山駅』に到着。降りて少し歩くと、『高尾山さる園』という看板が目に留まった。ここでは、日本固有の種、ニホンザルを間近に見られるらしい。興味をそそられ、ちょっと寄り道してみることにした。
中に入るとガラス越しにたくさんのニホンザルがいた! 元気にとびまわったり、仲間と毛づくろいしたり、なんとも自由で楽しそう。そして、みんな顔が真っ赤だ。もともとサルは南の地域の動物。ニホンザルは寒い土地に対応したから、顔が赤くなったのだろう。

屋上の観察スペースからも、サルたちを観察できる。見たところ、ニホンザルの社会にも序列がありそうだ。妻と2人で近くにいた飼育員に話を聞いてみた。飼育員いわく、やはり厳しい序列があるのだそうだ。それに、どうやら芸をするサルもいるらしい。「ぜひ見たい!」とお願いすると、飼育員がサルの名前を呼んだ。すると、そのサルが大ジャンプ! 思いがけないサルの芸に大喜びする妻の笑顔、とってもキュートだ。

12:08 P.M. 高尾山薬王院

テングが住む山……
日本はミステリアス!

かわいいサルたちと別れ、今日の1つ目の目的地『高尾山薬王院』へと歩く。参道には和の雰囲気があり、それが自然とうまくマッチしている。途中には太くて高い立派なスギの木もあった。これがガイドブックに書いてあった『天狗の腰掛杉』だ。人々を見守るテングが腰をかけていたという伝説があるとか。高尾山はテングが住む山なんだ。
なるほど、『高尾山薬王院』の仁王門では、りりしい顔をしたテングが待ち構えていた。その先にある御本堂には、大きなテングのお面が! カラフルな細工が美しい御本社の前にもテングの像があった。そして、御本社の左のかたわらにある小さな社には、かわいいキツネの像がたくさん。これは『福徳稲荷社』という名前の“オイナリサマ(お稲荷様)”だそうだ。いかにも高尾山に慣れた様子の近くの男性が、「ここには“ダキニ天”という神様がまつられていて、商売繁盛のご利益があると言われてるんですよ」と教えてくれた。ダキニ天は、白いキツネにまたがる天女の姿をした神様だそうだ。神様もテングも共存しているなんて、どれだけ日本はアメージングな国なんだ!

参拝の記念になるものが欲しいという妻は、“ゴシュイン(御朱印)”なるものをいただくことにした。てっきりスタンプラリーのようなものかと思っていたけれど、これは“キョウモン(経文)”を納めた証にもらうしるし(印)だそうだ。僧侶が筆を使って丁寧に文字を書いてくれる。これぞ、ジャパニーズ・パフォーマンスだ!

12:52 P.M. 高尾山山頂〜高尾山口駅

フジヤマに感激!
オシルコはセ ボン(C'est bon)!

『高尾山薬王院』を出たら、いよいよ山頂に向けてスタートだ。歩いていたら、向こうから来たファミリーに「コンニチハ!」と笑顔で言われた。日本人はシャイなイメージがあるが、山で出会う人たちはみんなフレンドリー。それがうれしい。
到着した山頂は、思ったより広々としていた。日本が誇る山、“フジヤマ”が見えたのにはエキサイトした! 天気が良くないと見えないらしいからラッキーだ。広い山頂の広場を一回りしながら、いろいろな方向の景色を楽しんだ。これから向かう八王子の街並みだけでなく、都心の超高層ビルも見えた。きっと、夜はすばらしい夜景を楽しめるはずだ。

ビジターセンターをチラッと見学したあと、ケーブルカーで下山。茶屋で一休みすることにした。入ったのは、『甘味 有喜堂』という店。いかにも私たち外国人が喜びそうな日本らしいお店だ。“マンジュウ”が人気のようだが、自称日本通の妻は“オシルコ(お汁粉)”をチョイス。出てきたのは、甘く煮た豆(アンコ)のスープに、モチ(餅)が入った食べ物だ。アンコが苦手という外国人が多いと聞くが、私も妻も大のアンコ好き。だからこのオシルコもとても気に入った。

さて、そろそろゲイシャに会うため八王子へ移動する時間だ。駅へ向かう途中の道沿いには、たくさんのみやげもの屋が並んでいた。お店の人たちは笑顔で声をかけてくれるし、興味深いものがいろいろと売られている。じっくり見てみたかったが、それは次に来るときのお楽しみにしよう。

2:38 P.M. 高尾山口駅〜八王子

ホンモノのゲイシャは
“オモテナシ”のプロフェッショナル!

京王八王子の駅で友人たちと合流し、歩いて“オザシキ(お座敷)”へ。家々の黒い塀が並ぶ路地の風景は、いかにも日本らしい雰囲気だ。10分少し歩いて、目的の『すゞ香』に着いた。ここでは、伝統的な和食のコースが食べられるという。
オザシキに通されると、そこにはすでにゲイシャが待っていた! 映画やポストカードで見たことはあったが、実際に会ってみると、白いメイクも鮮やかな色使いの着物も本当にエキゾチックで美しい。すっかりゲイシャに見とれている間にも、コースの料理が運ばれてくる。ゲイシャも美しいが、料理も本当に美しい。器にも盛りつけにも、日本らしいデリケートさがある。

ゲイシャのパフォーマンスは、とにかくすばらしかった。踊りも唄もとてもエレガント。三味線や太鼓とのコラボレーションにも感激した! 映画で見たゲイシャとは比べものにならないくらい、上品で洗練されている。店の人に教えてもらったのだが、踊っているゲイシャを“タチカタ(立ち方)”、シャミセンをひいているゲイシャを“ジカタ(地方)”というそうだ。それぞれが、自分の役割をきちんとこなしていて、会話も上手。つたない日本語しか話せない私のことも、ちゃんと笑わせてくれる。唄に踊り、演奏に話芸、すべてを完璧にこなすゲイシャは、まさにオモテナシのプロフェッショナルだ!

本当はもっと長くオザシキにいたかったが、時間のリミットが来てしまった(さみしい!)。今度、故郷フランスから我が家に遊びにくる友人たちをここへ連れてこよう。都心から近いのに、大自然も和の心も感じられるTAKAO。きっと喜んでくれるに違いない。

今回のおすすめコース

はじめてのTAKAOで新たな日本を発見したフランス人夫婦。それでは、今回のコースをご紹介しましょう。